小麦を石臼で挽き、粉からピッツァへ。
石臼で小麦を挽いて粉にし、その粉でピッツァを焼いていました。じっくりと手をかける工程を、根気強く取り組む人の仕事に。一皿ができるまでをたどると、一人ひとりの働く姿が見えてきます。


FOOD & WELFARE

PHILOSOPHY


福祉の現場で出会ったのは、根気よく一つの作業に向き合う人、細かな手仕事に力を発揮する人たちでした。得意なことも、その力が生きる場面も、一人ひとり違います。
らんどねでは、利用者の皆さんが客席の脇の椅子に座って出番を待ちました。1番の人が料理を運んで戻ったら、列のいちばん後ろへ。みんなが椅子をひとつずつ動いて、次は2番の人が行く。「バッターボックススタイル」と呼んでいました。足腰が弱くて疲れやすい人も、座って待てる。戻るときのハイタッチが、お店の景色でした。
隠すのではなく、堂々と働いて、みんなに見てもらう。私が大切にしているのは、「彼らだからできる」という視点です。その人が担う仕事によって、一皿の価値が生まれる。食べる人がそのおいしさを楽しみ、また訪ねたくなる場所を、皆さんと一緒につくっていきたいと思っています。
ORIGIN / CHIBA

千葉で借りていた畑で、野菜と一緒に綿を育てていました。機織りを教わろうと近くの福祉施設を訪ねたことから、皆さんとの交流が始まりました。
そのご縁から、月に一度のランチ会へ。食べたいものを聞き、料理をつくり、食卓を囲む。料理を楽しみに待っていてくれる人がいることが、私にとって大きな喜びになりました。




2017年には、福祉レストラン「らんどね 空と海」の立ち上げに関わり、2020年末までシェフを務めました。おいしい料理を届けることと、一人ひとりの持ち味が生きる仕事を考えること。その二つが、ここでつながりました。







WORK IN THE DETAILS
粉を挽く、薪を割る、床を磨く、道具を使う。レストランが開くまでにも、食べ終わったあとにも、さまざまな仕事があります。らんどねでは、その一つひとつに手をかけることを大切にしていました。
石臼で小麦を挽いて粉にし、その粉でピッツァを焼いていました。じっくりと手をかける工程を、根気強く取り組む人の仕事に。一皿ができるまでをたどると、一人ひとりの働く姿が見えてきます。


船橋で処分に困っていた梨の古木を引き取り、薪割り機で割って、乾かして、窯の燃料にしました。皆で窯に陶片を貼り、ピッツァを焼く。地域の困りごとから生まれた仕事が、レストランの一皿につながりました。




コーヒーを淹れたあとの粉で、床を磨いていたこともあります。一杯を楽しんだあと、その粉をお店の手入れにも生かす。調理や接客に加えて、気持ちよく過ごせる場所を整えることも、らんどねの日々の仕事でした。
布袋の中身は、毎日出るコーヒーの絞りかすを乾かしたもの。磨くほどに、ケヤキの床が飴色になっていきました。


エスプレッソマシンは、シンプルな操作で扱えるマニュアル式に。レバーを引いてコーヒーを淹れる、かっこいい姿を思い描いて選びました。道具も、働く人の持ち味や誇りを生かすための大切な要素です。


テーブルや椅子、クッションカバー、ランチョンマット、制服。店内には手づくりのものがたくさんありました。和紙のカーテンや、コーヒー袋で包んだ植木鉢も。料理を楽しむ空間にも、手仕事の温かさを重ねていました。




作家さんの器を長く使いたいと思い、金継ぎを学びました。日々の仕事の中で続けられる方法を探すうちに、合成うるしで直す手仕事へ。器の修復を通じて知った楽しさは、今の「かんたん金継ぎ」の講座にもつながっています。


カカオ豆をひとつずつ手で剥き、メランジャーで一週間かけて練る。バレンタインには数十枚しかできないチョコレートでした。


さんびおへ、続く手仕事 / 2024

LEARNING

福祉施設で働きながら積んだ実務経験を土台に、受験に向けて勉強を重ね、介護福祉士の国家資格を取得しました。
料理人としての経験に、福祉の知識を重ねる。一人ひとりの得意なことや、必要な支えを知り、現場の皆さんと一緒に仕事を組み立てる。今の活動にも、当時の学びが生きています。
PRACTICE / SENDAI & BEYOND
2021年に千葉から仙台へ移住しました。宮城では「みんなのおうち 太白だんだん」の活動にも協力しました。福祉レストランでの経験は、地域の現場、事業所の運営、カフェの立ち上げ、農業との連携へとつながっています。

NPO法人BALLOON
共同で立ち上げたNPO法人BALLOONでは、副理事長として、就労継続支援A型・B型の多機能型事業所の運営に関わっています。農業や食の仕事を通じて、それぞれの力を発揮できる場をつくっています。


cafe symbiose
千葉の「カフェさんびお(cafe symbiose)」は、オーナー、コーヒーの専門家、料理を担当する私の3人で立ち上げました。料理の分野から、就労移行支援のカフェづくりに関わりました。現在は次の事業所が引き継ぎ、福祉カフェとして営業を続けています。


HERALBONY / ISAI PARK
盛岡のヘラルボニー「ISAI PARK」では、カフェの総監修を担当しています。街に開かれた飲食店で、福祉事業所からの施設外就労を受け入れる取り組みにも関わっています。


KOUYU / 耕佑
BALLOON代表の伊藤さんとともに、施設外就労に取り組んでいます。施設外就労や障害者雇用を積極的に進める農業法人「有限会社耕佑(KOUYU)」とも連携し、農と福祉の現場をつないでいます。

MIYAGI / NOUFUKU LUNCH
2025年12月3〜5日、宮城県庁18階「レストランぴぁ」で開かれた「ノウフクランチフェア」の期間限定メニューを監修しました。農福連携に取り組む県内の福祉施設などが育てた農産物や加工品を、ひとつのランチに組み合わせた取り組みです。
豚肉と香味野菜のトマト煮込み、彩り豊かな野菜の副菜、さつまいもとメープルの豆乳プリン。育てる人、加工する人の仕事を、おいしさとして食卓に届けたいと考えました。
日々の営業の中で、現場の皆さんがつくり続けられることも大切にしました。レシピと調理・提供の流れを一緒に考え、働く人にも、食べる人にも喜んでもらえる形を目指しました。



12月1日の試食会では、村井嘉浩宮城県知事とともに料理を囲みました。当日の様子と取り組みは、宮城県の公式サイトでも紹介されています。
宮城県の記事を読むWAYS OF WORKING

就職に向けた準備から、事業所での日々の仕事、企業で働くことまで。異なる仕組みの現場に関わってきた経験を、その場所に合う料理や仕事づくりに生かしています。
WORK TOGETHER
どんな場所にしたいかを伺い、コンセプト、メニュー、仕事の進め方を一緒に考えます。
厨房の設備や人数、一人ひとりの得意なことに合わせて、料理と手順を整えます。
調理や盛り付けを実際に行いながら共有し、営業が始まってからの課題にも一緒に取り組みます。
ご希望の時期や場所、現在の状況をお聞かせください。内容や期間に応じて、進め方とお見積りをご提案します。仙台を拠点に、県外のご相談も承っています。
PHOTO & STORY
LET’S MAKE SOMETHING TOGETHER
お店づくりやメニュー、日々の仕事のこと。今考えていることから、お聞かせください。